「生理前になるとつらい気持ちになるけど、これってPMDD?PMS?」「どうやったら治るの?」とお悩みではありませんか?
実は生理前に日常生活の支障が出てしまうほど、心の不調がある場合は、PMDD(月経前不快気分障害)の可能性が高いです。
とはいえPMSやうつ病との違いが分かりづらいため、迷ってしまう方も少なくありません。
そこで今回はアメリカの精神学会が作成した「PMDDのチェック項目18選」について解説します!
セルフチェックで自分がPMDDか判断することができるので、治療や改善に役立てることができます。
さらに、PMDDの具体的な治療方法や簡単にできる対処法についてもお伝えします!

・PMDDはどんな症状?PMSとの違いは?・・・生理前に起こる心と体の不調でうつ病の1種とされている。PMSに比べるとイライラや落ち込みなど精神症状が重いのが特徴!
・PMDDのセルフチェック方法・・・アメリカの精神科医が作成した自己診断表を使う。情緒不安定・不安・緊張など18項目に答えるだけで簡単にチェック可能!
・PMDDの対処方法・・・薬(SSRI)・低用量ピル・漢方薬の服用が効果的
PMDDとは生理前に起こる心と体の不調

原因ははっきりとわかっていませんが「生理前に急激に変化する女性ホルモンの影響ではないか」という説があります。
PMDDの症状は多岐に渡り、200以上の症状があると言われています。
・怒りっぽい
・暴力的
・うつ症状
・無気力
・不安
・情緒不安定
・涙もろい
・集中力の低下
・疲労感
・眠気や不眠
PMDDを発症する割合や症状がでる時期は、以下のとおりです。
症状がでる時期・・・生理が始まる2週間前から生理が終わるまで・排卵前後にでる場合もある
生理がはじまると症状が自然に消えたり、軽くなったりするのがPMDDの特徴です。
「生理前になると気分が落ち込み布団から出られない」「生理前は感情のコントロールができない」と感じる方は、もしかするとPMDDかもしれません。
生理前の不調がPMDDであると気づき、受け止めるだけでも気持ちが楽になる場合もあります。
まずは、PMDDかどうかセルフチェックしてみましょう!
PMDDのセルフチェックについては、この後に詳しく紹介します。
参照元:Birth & Ladies’ Clinic Sola
PMS(月経前症候群)とPMDDの違い
PMDDとPMSには、生理がはじまると症状がなくなったり、軽くなったりする共通点があります。
一方で、PMDDはPMSと比べて「精神症状が重く症状のでる期間が長い」という特徴があります。
PMDDはイライラやうつ症状により、仕事や家事、学業など生活に支障が出るほどの状態と考えられています。
PMSとPMDDの具体的な違いは、以下のとおりです。
診断名 | 主な症状 | 症状が出る時期・頻度 |
PMDD | ・情緒不安定(死にたくなる、涙がでる) ・不眠 ・イライラ ・不安感や緊張感 | ・排卵前後 ・生理の10日以上前から症状がでる場合がある ・月経周期のほぼ毎回症状がでる |
PMS | ・気分に変化(イライラ、落ち込み、不安) ・お腹のはり、乳房の痛み、ニキビ、体重増加など | ・生理前3日~10日前から出る場合が多い ・月経周期の数回に1回の頻度で症状がでる |
PMSよりも精神状態に重い症状が出るため、PMDDの精神症状を改善するためには、精神科や心療内科での治療が必要となるケースが多いです!

参照元:銀座心療内科クリニック
参照元:新宿ストレスクリニック
PMDDの自己診断表18項目でセルフチェックしよう
「もしかしてPMDDなのでは?」と不安を感じる方は、セルフチェックをしてみましょう。
2013年にアメリカの精神医学会が 発表した「DSM-5」という診断基準で簡単に自己診断ができます。
PMDDのチェック項目は、以下のとおりです。
【1】 | ・情緒不安定 ・激しいしい苛立ち、対人関係の摩擦の増加 ・絶望感、自己批判的な思考 ・不安・緊張状態 |
【2】 | ・ 興味の減退 ・集中困難 ・倦怠感 ・過食、拒食 ・過眠または不眠 ・圧倒される、制御不能感 ・乳房の圧痛・膨張や関節痛などの身体症状 |
【3】 | ・月経開始前までに上記の症状が見られ、開始後に軽減もしくは消失する ・症状により、社会活動や他者との関わりに困難が生じる ・2回以上の月経周期において症状が確認される |
上記のチェックリストのうち下の条件を満たしている方は、PMDDの疑いがあります。
・【2】のうち1つ以上該当する
・【1】と【2】を併せて合計5個以上該当する
・【3】の全てに該当する
参照元:イースト駅前クリニック
PMDDは適切な治療を行うことで、症状は改善します。
PMDDの疑いがある方は、次の章で具体的な治療方法や対処法について紹介しますので、参考にしてみてください。

PMDD改善に効果的な対処方法3選
PMDDは、薬や低用量ピル、漢方薬の内服により症状を改善できます。
薬によって、メリットやデメリットが異なるので確認しておきましょう!
ここでは、PMDDの改善に効果的な対処方法を3つ紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
1. SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の服用

SSRIは、抗うつ剤の一種であり、脳内の神経伝達物質「セロトニン」を増やす薬。うつ症状や不安感を緩和し、気持ちを穏やかにします。
近年、PMDDの研究では、脳内の神経伝達物質「セロトニン」の量をコントロールすることが有効であることが分かりました。
実際に、日本の産婦人科学会は、PMDDや精神症状が重いPMSの方へ、SSRIの使用をすすめています。
即効性がある、高い効果が期待できる(約8割の方が投与開始から1〜3日以内に症状の軽減が認められる)
飲みはじめに吐き気や胃痛、下痢などの副作用がある場合がある
SSRIは抗うつ薬なので、産婦人科での処方が難しい場合があります。
「とにかく精神的につらい」「死にたくなってしまう」と感じる方は、精神科や心療内科で相談してみると良いでしょう。
副作用や抗うつ薬に抵抗がある方は、自分に合った治療方法を選択することが大切です。PMDDには、抗うつ薬以外の治療法もあります。
受診する際に「薬に抵抗がある」という気持ちを医師に相談してみてください。
参照元:新宿ストレスクリニック
参照元:銀座心療内科クリニック
2. 低用量ピルの服用

PMDDの詳しい原因はわかっていませんが、女性ホルモンの急激な変化が関係していると考えられています。
低用量ピルには、女性ホルモンが配合されており、脳に「妊娠している状態」と認識させることで排卵を抑制することが可能!
排卵を抑制することにより、PMDDの原因となる女性ホルモンの量の急激な変化が起きにくいため、つらい症状を改善するとされています。
低用量ピルを服用するメリットやデメリットは、以下のとおりです。
PMDDの症状以外にも効果がある(生理痛の軽減や肌荒、避妊など)
副作用がでる場合がある・血栓症のリスクがあり、服用できない場合がある
低用量ピルは、PMDDの改善だけではなく、生理痛に効果が期待できる点もメリットです。
「PMDDの症状が終わった後の生理痛がつらい」という方にもおすすめ!
また低用量ピルの種類や体質によっては、副作用を強く感じたり、効果が得られなかったりする場合も。
低用量ピルには、以下のように様々な種類があります。
・ヤーズ配合錠
・ヤーズフレックス配合錠
・ルナベル
・ルナベルULD
医師と相談しながら、自分の体質に合った低用量ピルを探しましょう!
低用量ピルは、精神科や心療内科での処方が受けられない場合が多いです。
低用量ピルの服用を希望する場合は、産婦人科に受診しましょう。
参照元:ネオクリニック

3. 漢方薬の服用

東洋医学では、PMDDなど月経前の不調は、気の流れが滞り血のめぐりが悪いことが原因と考えられています。
気の流れを良くする漢方薬を服用すると、血のめぐりが良くなるため、PMDDに効果的です。
漢方薬を服用するメリットやデメリットは、以下のとおりです。
副作用が少ない・自分の症状に合わせて漢方薬が選べる
効果に個人差がある・効果がでるまでに時間がかかる
「自分のつらい症状に合わせて服用したい」という方には、漢方薬がおすすめです。
PMDDに有効と言われている漢方薬を紹介するので、自分の症状と照らし合わせて確認してみてください。
加味逍遥散 | ・気の流れを良くする働きが特徴 ・イライラ、のぼせ、便秘に有効 ・ストレスをため込みやすい方におすすめ |
当帰芍薬散 | ・血流を良くして体を温める働きが特徴 ・むくみ、冷え性、疲れやすい症状に有効 ・身体的不調がある方におすすめ |
桂枝茯苓丸 | ・血行を良くして熱のバランスを整える働きが特徴 ・肩こり、のぼせに有効 ・身体的不調が強い方におすすめ |
抑肝散加陳皮半夏 | ・イライラや緊張を抑えて精神を鎮める働きが特徴 ・神経の興奮、不眠に有効 ・イライラすると顔色が悪くなる方(青くなる)におすすめ |
参照元:銀座心療内科クリニック
中には、ドラッグストアで購入できる漢方薬もあります。「受診する時間がない」という方も手軽に購入できる点がメリット。
漢方薬は、副作用が少ないので「薬やピルを飲むのは抵抗がある」という方にもおすすめです。
ただし、体質に合わないと逆効果になる場合があります。服用後も不調が続く場合は、我慢せず受診して医師に相談することをおすすめします。
PMDDの改善に役立つ体験談3選
「こんなにPMDDがひどいのは自分だけなのでは?」と悩まれている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、PMDDの改善に役立つ体験談をまとめました。
「この対処法で症状が改善した!」という声も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
1. PMDDで死にたくなった体験談
PMDDで「死にたい」と思ってしまうほどつらい思いをされている方は、少なくありません。
動けなかったり寝込むほどではないけどPMDD症状が辛いというとき、私は「無心で集中できること」をするようにしています。私の場合1つの事に集中することで死にたい気持ちや不安感が和らぐように。その方法の1つが簡単な料理やお菓子作り。今日は初めてツナマヨコーンパンを焼きました!#PMDD#PMS pic.twitter.com/voQM7RdNGP
— 中安紀子@生理前あるある (@non47659489) March 15, 2022
PMDD私も一緒です…!
・突然涙が止まらなくなる
・お風呂に入れないご飯が食べられないなど日常生活が困難になる
・些細なことで自分はダメな人間だと思いまた涙が止まらなくなる・死にたい・全てに悲観的 ・吐き気 etc
私はヤーズフレックスで1年ほど治療していますがとても楽になりました!— ぴーなっちゅ (@kisuhagu) February 6, 2020
・無心で何かに集中する
・低用量ピル(ヤーズフレックス)を服用
「低用量ピルの服用でとても楽になった」という声が多数ありました。
精神科の受診に抵抗がある方は、産婦人科で低用量ピルを処方してもらうこともおすすめです。
2. PMDDでイライラした体験談
「とにかくイライラしてつらい」という方も、薬の服用で改善したという声が多くありました。
PMDDでSSRIを毎日一錠飲み始めてから3週間ほど経ちかなり体調が改善した。量的にはかなり少ないけど、だるさやイライラはもちろん、肩こりや緊張性の頭痛、腕関節の痛みや耳鳴りなどのマイナートラブルまでなくなった。PMSやプレ更年期などでお悩みの方、SSRIアリですよ!婦人科&心療内科がベスト✨
— かちゃぱん (@panda_all_panda) March 12, 2022
PMS・PMDD(月経前のイライラや不安感等の精神症状)の治療で飲み始めた低用量ピル、なぜ今まで飲んでいなかったのか!と思うほど快適。
月経のタイミングが分かるだけでも便利なのに、毎回鎮痛剤を飲んでも仕事中うずくまってしまうほど痛かった生理痛がまるで無く😳
不安感やイライラも軽減している!— 夜明(よあ) (@yoa_akagawa) March 17, 2022
・SSRIを服用
・低用量ピルを服用
SSRIや低用量ピルはイライラの改善に効果があることを裏付けるような、声が多くありました。
SSRIは、イライラだけではなく肩こりや耳鳴りにも効果があるという声も。
PMDDの症状が多岐に渡る方は、精神科や心療内科を受診してみてはいかがでしょうか。
3. PMDDで眠れない体験談
実はPMDDの方で不眠を訴えられる方も、少なくありません。
昔、PMDD期間は不安が強すぎて全く夜に眠れない2週間でした
今は漢方のおかげか眠れるけど、起きられない…
今日は起きたら11:30でした💦症状がひどい時は夜寝れないし辛いなあ
時間を無駄遣いしてる気がして焦ります
— かのん (@help_mdd) September 21, 2019
わたしのいつメン💊#PMDD や不安、不眠、やる気の出ない症状を助けてくれる友たち〜
ヤーズ(ピル)、サインバルタ(わたしはアドレナリンがなさすぎるのでそれを増やす薬)、トラベルミン(三半規管を安定させる薬)(何か乗り物に乗るときと気圧の低い時は飲む)、アルプラゾラム(抗不安薬) pic.twitter.com/aIKMODIUQb— murata aoi (@_ao3104) May 8, 2020
・漢方薬を服用
・低用量ピルを服用
・抗不安薬を服用
「漢方薬で不眠が改善した」という方がいらっしゃいました。
薬やピルの服用に抵抗がある方にとっては、励みになる声。
「漢方薬なら飲んでみたい」という方は、受診の際に相談してみると良いでしょう。
PMDDでよくある質問3選に回答!セルフケアやPMS・うつ病との違いは?
「本当はうつ病なのかもしれない」と不安を感じたことはありませんか。
ここでは、PMDDとうつ病との違いなど、PMDDでよくある質問に回答します。自分がPMDDかどうかチェックする際にぜひ参考にしてみてください。
1. PMDDに効果的なセルフケアは?
PMDDは、ストレスの影響を受けると言われています。
ストレスによって脳にある視床下部の働きが乱れると、ホルモンバランスに異常が生じる原因に。
女性ホルモンバランスの乱れは、PMDDを悪化させるため、ストレスをためないように心がけることが大切です。
さらに、PMDDは生活習慣の影響も大きく受けます。カフェインを取りすぎていたり、運動不足であったりすると、症状が悪化してしまう可能性も。
ストレスや良くない生活習慣は、ホルモンバランスが乱れる原因となるので、セルフケアを取り入れることをおすすめします!
・日記をつける・・・ストレスに気がつきやすくなったり、無理のない予定が立てられるようになる
・十分な睡眠をとる・・・睡眠不足はホルモンバランスを乱す原因となる
・リラックスする時間を取る・・・ストレス発散となり、ホルモンバランスが整う
・カフェインを控える・・・カフェインが脳を活性化させて緊張や不安感を悪化させてしまう
・ウォーキングなど有酸素運動を行う・・・自律神経のバランスが整って落ち込みが軽減する
・大豆製品を摂取する・・・大豆イソフラボンにはホルモンバランスを整える効果がある
セルフケアを完璧にしようと思うと、ストレスが溜まり逆効果になってしまいます。
セルフケアは毎日のことなので、気楽に続けられる方法からはじめてみましょう。
「コーヒーが大好きで控えるのが難しい」という方は、カフェインレスのものに変えてみる方法もおすすめです。
参照元:元住吉こころみクリニック
2. PMSがひどくなったらPMDDなの?
PMSが悪化しても、必ずPMDDになるとは言えません。
なぜなら、PMSよりも精神的症状が重く、日常生活に支障をきたすものをPMDDと定義しているからです。
そのため、PMSによる身体的な症状が強くなってもPMDDではないということになります。
PMDDの原因ははっきりとはわかっていません。一方で、PMDDの要因としてストレスや出産などのライフイベントが関連しているということが証明されています。
「妊娠や出産をきっかけに精神的症状が重くなった」という方は、PMDDを発症している可能性も考えられます。
PMSの精神的症状が悪化している方は、精神科や心療内科に相談してみることをおすすめします。
参照元:イースト駅前クリニック
3. PMDDとうつ病の違いは?
PMDDとうつ病の違いは発症する時期が異なるという点です。
PMDDは「生理前や排卵後から症状が出て、生理がはじまると消失する、もしくは生理が終わると消失する」という特徴があります。
しかし、排卵前後からPMDDの症状が出る方は、不調がない時期がほとんどない方も少なくありません。
そのため、自分でもうつ病なのかPMDDなのかがわからなくなる方もいると言われています。
常にイライラしたり不安が強かったりする場合は、精神科や心療内科へ相談してみることをおすすめします。
参照元:新宿ストレスクリニック
PMDDでつらいときは産婦人科・精神科で相談しよう!
今回は、PMDDのセルフチェックや対処方法についてお伝えしました。
PMDDは、薬や漢方薬、低用量ピルを服用することで改善できるケースが多いです。
セルフチェックをしてPMDDの疑いがあった方や症状がつらい時は、我慢せずに産婦人科や精神科、心療内科へ受診し相談しましょう。
「受診する時間がない」「精神科や心療内科に行くのは抵抗がある」という方は、医療関係者に相談できるオンライン診療「スマルナ」もおすすめです。
ひとりでつらい気持ちを抱えている方は、ぜひ利用してみてください。