「ダウン症と高齢出産って関係あるのかな?」
そのようにお考えではありませんか。
もし高齢出産でダウン症の胎児ができやすくなるなら不安ですよね。
結論から言います。「高齢出産はダウン症の胎児ができる確率をあげます。」
この記事では現役の医師が高齢出産でダウン症の胎児ができやすくなる理由、高齢出産でダウン症の胎児ができる確率を説明しているので、この記事を読めばそのことがよく分かります。
さらに高齢出産によるダウン症の胎児のリスクを下げる方法をご紹介するので、高齢でも子供を作るべきかについての判断ができるようになります。
今回は高齢出産でダウン症の胎児ができやすくなる理由、高齢出産でダウン症の胎児ができる確率、男が高齢でもダウン症のリスクは高くなるのか、高齢出産によるダウン症のリスクを下げる方法、出産前に胎児を検査する方法を詳しく解説します。
ダウン症と高齢出産の関係との深い理解に、この記事が参考になれば幸いです。
なぜ高齢出産でダウン症の胎児はできやすくなるの?
ダウン症は、細胞の21番染色体が通常より1本余分にあり計3本になると発症します。
通常、母親から1本、父親から1本の計2本の21番染色体を持って胎児が誕生します。ところが母親の卵子の精製に異常が起き、21番染色体を2本もつ卵子ができてしまうことがあります。それをもとに受精が行われるとダウン症の胎児が誕生します。
そのため女性は加齢によって卵子の精製に異常が起きやすくなるので、高齢で出産するとダウン症の子供が産まれやすくなると言われています。加齢に伴って卵子の精製に異常が起きる原因は明らかされていませんが、老化によるものと考えられています。
高齢出産でダウン症の胎児ができる確率は?
年齢が上がるほどダウン症の子供を出産する確率は高くなります。
統計調査によると、20代の間は0.08%〜0.1%に対して、高齢出産の年齢である35歳では0.3%もあり、20代と比べて3倍以上の確率でダウン症の胎児ができる確率が上昇します。
また40代での出産になると1.5%以上となり、100人に1人よりも高い確率でダウン症の胎児ができるとされています。
下記の表は、母体年齢とダウン症の胎児ができる確率を表したものです。
母体年齢 | ダウン症の確率 |
20歳 | 0.08% |
30歳 | 0.1% |
35歳 | 0.3% |
37歳 | 0.5% |
39歳 | 0.8% |
41歳 | 1.5% |
43歳 | 2.6% |
45歳 | 4.8% |
男が高齢でもダウン症の胎児ができる可能性は高くなるの?
パートナーの男性が高齢の場合でも、ダウン症の胎児ができる可能性が高くなるとわかっています。加齢によって精子の精製に異常が生じやすくなることで、21番染色体を2本もつ精子が生まれやすくなることで、その精子が卵子と受精するとダウン症の胎児が誕生します。
1960年代から1970年代にノルウェーで実施された出生調査では、50代以上の男性がパートナーの場合、ダウン症のリスクが20〜30%増加すると報告されています。
そのため男性が高齢なことも、ダウン症の胎児ができる原因の1つと考えられています。
高齢出産によるダウン症のリスクは下げられるの?
葉酸の摂取は高齢出産によるダウン症のリスクを下げられると期待されています。
葉酸は胎児の神経管閉鎖障害を防ぐ効果があると言われています。北海道大学が行った調査によると、神経閉鎖障害児の出産経験がある母親は、そうでない母親とくらべて5.8倍ダウン症の妊娠の可能性が高いことがわかっています。
そのため葉酸を取り胎児の神経菅閉鎖障害のリスクを防ぐことで、ダウン症の出産リスクを軽減できると考えられています。しかし神経管閉鎖障害児を出産しやすい女性が、ダウン症の子供を妊娠しやすい原因は明らかになってません。
葉酸はほうれん草やレバー、柑橘類からとれますが、食事によっての摂取では体内の利用率が50%になる言われています。また水に溶けやすく熱に弱いため、サプリメントによる摂取がおすすめです。
出産前に胎児を検査できるの?
出産前に出生前診断を行うことで、胎児を検査することが可能です。
出生前診断を受ける割合は年々増えており、2016年に出生前診断を受けた人は約7万人にいます。また35歳以上の高齢出産に当たる妊婦は、4人に1人が検査を受けているといわれています。
近年使われているNIPT(新型出生前診断)は陽性的中率が99%以上あると言われており、高い精度で出産前の胎児を検査することが可能となっています。

ダウン症 高齢出産 まとめ
今回はダウン症と高齢出産の関係について詳しく解説しました。年齢が高くなるほどダウン症の出産リスクは上昇します。高齢出産によるダウン症のリスク下げる方法も存在しますが、まだ明らかになっていないことも多いです。したがって35歳以上の高齢で出産したい場合はリスクを考えて判断するようにしましょう。
ダウン症と高齢出産の関係の理解に、この記事がお役に立ててれば幸いです。